ハナちゃん

 

 

ハナちゃんは別れを告げに来たのだけど

ぼくはドアを開けない

雨水がにごる音を聞き

ハナちゃんの言い訳をドア越しに聞く。

 

(CDをポストにねじこんで帰ってしまえばいいのに。)

 

思ってもないことを思う。

 

冷めきったコーヒーで

夜になって  やっと

隣の家の焼魚のにおいで  やっと

花瓶の花がぽとりとおちて  やっと

 

雨がやんで やっと

一日洗濯物が干されたままだったときづく

 

あぁ

 

ハナちゃんは こんなぼくの かすんだドアに

グレープフルーツと ティッシュと 花輪くんのストラップと おもちゃ銀行のお金

をぶらさげて、「また来る」と落書きして帰っていた。

 

 

でももぅわかんない。