デジャブ

 

 

わたしたちはみじかい会話をした

ふりむきながら手をふった

ぼうしをとって深くれいをした

泣いてはいけないのだとわかっていた

 

あのときも あのときも

こんなこと あったなあ

 

みじかくノックしてドアをあけた

コーヒーをブラックでおねがいします

でんきをひとつひとつ消していって

最終的にこころのすいっちも切ってしまった

 

あのときも あのときも

こんなこと あったなあ

 

バナナの皮のうえをすべってしまった

ゆっくりと視界がかたむいていった

小花模様の あたらしい傘について

お風呂のなかで じっとかんがえていた

 

あのときも あのときも

あなたのことが ずっとすきでした

 

そんなこと そんなこと

おもいだした デジャブでした。