かてい(か)

 

 

おなかのなかには桃子ちゃんがいて

あたまのなかには陽子ちゃんがいた

かみをくしゃくしゃにしたあのこの

だらんとしたエプロン

おうじさまなどどこにもいないのだと言ってやりたかった

あわれそうなめで とおくをみつめて

すすったメロンソーダ

ヘビがおのけしょう

おとぎのくにがあるならつきあたりのといれのよこよ

われにかえって 煙草に火をつけて

ききとれないこえで

ぽつんぽつん言う

「結婚は ついらくじこよ」

ヘビがおがゆがんで

びんぼうゆすりする

 

 

あのこの紫のカーディガンはよれてうすれている

わたしの水色のレインコートはギチギチでしゃらしゃらしている

わたしたちは いつも にている

わたしたちは いつも にている

教科書をよんでたあのころから

「だいじょうぶよ

 だいじょうぶよ」

ふるえる足に 手をかけてやるのだ

つめをかむ手を にぎられるのだ